うつ病と心血管疾患のリスク:システマティック・レビューおよびメタ解析

今回はうつ病が心血管疾患のリスク要因であるという報告です。

Depression and the risk for cardiovascular diseases: systematic review and meta analysis.
Van der Kooy K, van Hout H, Marwijk H, Marten H, Stehouwer C, Beekman A.
Int J Geriatr Psychiatry. 2007 Jul;22(7):613-26.

背景:うつ病と心血管疾患はいずれも高齢者に多い疾患である。うつ病は冠動脈疾患発症の独立したリスク要因であることが疑われているが、いまだどの程度のリスク要因であるのか、またうつ病がその他の循環器疾患の発症に関連しているのかについては、いまだ明らかになっていない。
目的:様々な心血管疾患にたいして独立したリスク要因として、うつ病がどの程度のリスクを有しているのかを調べ、ヘテロジェニティおよび方法論の影響について調べた。
方法:ベースラインのうつ病の有無および転帰として心血管疾患が報告されているコーホート研究および症例対照研究について、メタ解析およびメタ回帰解析を行った。
データ:MEDLINE(1966-2005)およびPSYCHINFO(1966-2005)
結果:組み込み基準を満たした28の研究のうち11の研究が質の高い研究であると評価できた。抑うつ症状はさまざまな心血管疾患のリスク増加と関連していたが、ほとんどの場合ヘテロジェニティが認められた。唯一心筋梗塞の発症に対するうつ病のリスク(n=8, OR=1.60, 95%CI 1.34-1.92)のみがホモジニアスであった。臨床的に大うつ病性障害と診断されることが、心血管疾患の発症リスクとして最も重要であった。
結論:うつ病は様々な心血管疾患の発症に対する独立したリスク要因であるが、この知見は高度なヘテロジェニティと関連している。

ここでいうヘテロジェニティとは、メタ解析に組み込んだ各研究間の違いを表す指標のことのようです。また、ここで表現されているdepressionは臨床的な大うつ病性障害という診断と抑うつ症状までの幅広い意味で用いられていました。
で、結論ですが、広い意味でのうつ病で見た場合、研究間のヘテロジェニティが大きいながらも、心血管疾患の独立したリスク要因として考えることができるというものです。また、心血管疾患の中でも心筋梗塞に関しては、研究間の差異もなくうつ病がリスク要因といえます。さらに、臨床的な大うつ病性障害という診断についてみてみると、心血管疾患のリスクが、なんと喫煙や糖尿病と同程度に認められるというかなり衝撃的な結論です。
最近Am J Psychiatryにも、大規模コーホート研究からの同様の報告が出ています。約2万人のコーホートを追跡した結果、その他の主なリスク要因で補正しても、大うつ病性障害と診断されたクライアントは、診断されなかったクライアントと比較して虚血性心疾患で死亡するリスクが2.7倍高いというものです。
おそらく今後は、治療介入によりこれらのリスクを減らすことができるのかという大規模な研究が計画されると思われます。いずれにしろ、身体的なチェックと他のリスク要因を減らす努力が必要になりそうです。

1. Paul G Surtees et al., “Depression and Ischemic Heart Disease Mortality: Evidence From the EPIC-Norfolk United Kingdom Prospective Cohort Study,” The American journal of psychiatry (February 1, 2008).

タグ : 大うつ病性障害 心血管疾患 身体疾患リスク

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