STEP-BDにおける双極性障害クライアントの介護者が感じるスティグマに関連した要因について
Factors associated with stigma among caregivers of patients with bipolar disorder in the STEP-BD study.
Gonzalez JM, Perlick DA, Miklowitz DJ, Kaczynski R, Hernandez M, Rosenheck RA, Culver JL, Ostacher MJ, Bowden CL; STEP-BD Family Experience Study Group.
Department of Psychiatry, University of Texas Health Science Center,
7703 Floyd Curl Dr., San Antonio, TX 78229, USA.
目的:双極性障害クライアントの介護者が感じる精神疾患に対するスティグマの原因となる要因については、ほとんど知られていない。
方法:STEP -BD参加者の介護者500名に対して、スティグマ、気分、負担、対処行動に関する横断的なインタビュー調査を行った。家族や友人である双極性障害クライアントは、治療担当者のDSM-IVエピソードステータスより、診断、臨床的状況を評価した。クライアントの臨床的状況が様々であったため、前の年の少なくとも3/4がユーサイミックであったクライアント(コントロール良好群)と、前年の少なくとも1/4に気分障害エピソードが認められたクライアント(コントロール不良群)に分けて解析を行った。逐次重回帰分析を用いて、介護者のスティグマに関連する、クライアント、疾患、介護者の性格特性について同定を試みた。
結果:コントロール不良群では、精神疾患に対するより強いスティグマは、双極I型障害(双極II型障害と比較した場合)、介護者に対する社会的なサポートが少ないこと、介護者の社会的関係性が希薄であること、介護者がヒスパニックであることと関連していた。一方、コントロール良好群では、より強いスティグマは、双極性障害の親のアダルトチャイルドであること、社会的関係性が希薄であること、女性の双極性障害クライアントの介護者と関連が認められた。
結論:精神疾患にたいするスティグマは、活発な症状をもつ双極性障害クライアントの介護者のみでなく、症状が寛解しているクライアントの介護者の間にも認められた。スティグマは、典型的には症状が見られる期間にクライアントを「異なっている」と認識していることと関連している。今後は、介護者が、クライアントの疾患が活動期にある場合に感じられるスティグマと、安定期にある場合に感じられるスティグマの違いについての研究が必要である。
わたしもはじめは混乱していたのですが、本文のスティグマに関する質問項目を見てみると、「他の多くの人たちが精神障害者を受け入れていると感じるか」となっていましたので、介護者が世間から精神疾患に対するスティグマを感じるかというような話のようです。双極性障害は慢性の疾患であり、症状の安定したコントロールには、メディカルなケアのみでなく、ソーシャルなサポートが重要になってきます。その要になるのが、介護者(ケア・ギバー)です。ですから、長期的な安定を目指す場合には、介護者の安定が必要不可欠であるとの考え方のもと、このような研究が行われているようです。地域でスティグマを解消するような活動が、介護者の社会的な孤立を防ぐことになり、介護者の精神的・社会的な安定が、クライアント自身の病状の安定につながるというものです。
アメリカの状況について特に詳しいわけではありませんが、表面的な態度を見ると日本よりも精神疾患そのものに対するスティグマは弱いような印象があります。もっとも、その他の個人の属性に関するスティグマもあり、もしかしたらそちらの方が大きくって、精神疾患を持つ持たないという属性が、比較的小さいのかもしれません。日本の事を振り返ってみると、私の個人的な感覚では依然、精神疾患に対するスティグマは強いような印象です。さらに、最近は社会全体の不 (非?)寛容な度合いが増してきているような気さえします。この論文でも出てきていましたが、「自分達とは異なる」という感覚がこういったスティグマを生む源のひとつであるのは間違いないことだと思います。しかし、少し考えてみれば分かることですが、精神疾患の罹患率はそんなに低いものではありません。いつ、自分や大切な人が精神疾患を発症してもおかしくないでしょう。基本的に、精神疾患を発症していない人は、ただ幸運なだけで、不幸にして発症した人と、何ら違いは無い可能性があるんですね。そう考えられるようになると、自然とスティグマは弱くなってくるような気がします。
Gonzalez JM, Perlick DA, Miklowitz DJ, Kaczynski R, Hernandez M, Rosenheck RA, Culver JL, Ostacher MJ, Bowden CL; STEP-BD Family Experience Study Group.
Department of Psychiatry, University of Texas Health Science Center,
7703 Floyd Curl Dr., San Antonio, TX 78229, USA.
目的:双極性障害クライアントの介護者が感じる精神疾患に対するスティグマの原因となる要因については、ほとんど知られていない。
方法:STEP -BD参加者の介護者500名に対して、スティグマ、気分、負担、対処行動に関する横断的なインタビュー調査を行った。家族や友人である双極性障害クライアントは、治療担当者のDSM-IVエピソードステータスより、診断、臨床的状況を評価した。クライアントの臨床的状況が様々であったため、前の年の少なくとも3/4がユーサイミックであったクライアント(コントロール良好群)と、前年の少なくとも1/4に気分障害エピソードが認められたクライアント(コントロール不良群)に分けて解析を行った。逐次重回帰分析を用いて、介護者のスティグマに関連する、クライアント、疾患、介護者の性格特性について同定を試みた。
結果:コントロール不良群では、精神疾患に対するより強いスティグマは、双極I型障害(双極II型障害と比較した場合)、介護者に対する社会的なサポートが少ないこと、介護者の社会的関係性が希薄であること、介護者がヒスパニックであることと関連していた。一方、コントロール良好群では、より強いスティグマは、双極性障害の親のアダルトチャイルドであること、社会的関係性が希薄であること、女性の双極性障害クライアントの介護者と関連が認められた。
結論:精神疾患にたいするスティグマは、活発な症状をもつ双極性障害クライアントの介護者のみでなく、症状が寛解しているクライアントの介護者の間にも認められた。スティグマは、典型的には症状が見られる期間にクライアントを「異なっている」と認識していることと関連している。今後は、介護者が、クライアントの疾患が活動期にある場合に感じられるスティグマと、安定期にある場合に感じられるスティグマの違いについての研究が必要である。
わたしもはじめは混乱していたのですが、本文のスティグマに関する質問項目を見てみると、「他の多くの人たちが精神障害者を受け入れていると感じるか」となっていましたので、介護者が世間から精神疾患に対するスティグマを感じるかというような話のようです。双極性障害は慢性の疾患であり、症状の安定したコントロールには、メディカルなケアのみでなく、ソーシャルなサポートが重要になってきます。その要になるのが、介護者(ケア・ギバー)です。ですから、長期的な安定を目指す場合には、介護者の安定が必要不可欠であるとの考え方のもと、このような研究が行われているようです。地域でスティグマを解消するような活動が、介護者の社会的な孤立を防ぐことになり、介護者の精神的・社会的な安定が、クライアント自身の病状の安定につながるというものです。
アメリカの状況について特に詳しいわけではありませんが、表面的な態度を見ると日本よりも精神疾患そのものに対するスティグマは弱いような印象があります。もっとも、その他の個人の属性に関するスティグマもあり、もしかしたらそちらの方が大きくって、精神疾患を持つ持たないという属性が、比較的小さいのかもしれません。日本の事を振り返ってみると、私の個人的な感覚では依然、精神疾患に対するスティグマは強いような印象です。さらに、最近は社会全体の不 (非?)寛容な度合いが増してきているような気さえします。この論文でも出てきていましたが、「自分達とは異なる」という感覚がこういったスティグマを生む源のひとつであるのは間違いないことだと思います。しかし、少し考えてみれば分かることですが、精神疾患の罹患率はそんなに低いものではありません。いつ、自分や大切な人が精神疾患を発症してもおかしくないでしょう。基本的に、精神疾患を発症していない人は、ただ幸運なだけで、不幸にして発症した人と、何ら違いは無い可能性があるんですね。そう考えられるようになると、自然とスティグマは弱くなってくるような気がします。
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